とにかく立地が良いホテル フェニックス リスボン
今回の旅、リスボンで宿泊したのはホテル フェニックス リスボン(HF Fenix Lisboa)。ポンバル公爵広場に隣接した四つ星ホテルだ。リスボンとポルトにいくつかのホテルを運営するHF HOTELSというポルトガルのホテルチェーンのホテルの一つらしい。
モダンというかスマートというか、とくに何か特徴があるというわけでもない外観(味気ないともいう)。質実剛健とも言えるかも? 客室内(COMFORTタイプ)はベージュ系で落ち着いた色合いで、シンプルに機能的にまとまっていた。バスルームは広々とした清潔、バスタブ付きである。
このホテルを選んだ決め手は、やはりなんといっても立地の良さである。2路線が乗り入れる地下鉄駅があるポンバル公爵広場へ、歩いて1分もかからないという距離は大きな魅力だ。当初はまさに街の中心部ともいえるレスタウラドーレス広場のあたりがいいかなと思っていたのだが、料金がほどほどで良さそうな宿が見つからなかったのだ。
だが、実際にホテル フェニックス リスボンに泊まってみると、レスタウラドーレス広場までは歩いて10分ほどで行けるし、地下鉄の駅にも近く、全く問題がない立地だった。
とても陽気で元気をくれる朝食レストランのスタッフ
ホテル フェニックス リスボンの口コミを読むと、何人かの人が触れているのが朝食のレストランにとても陽気で面倒見の良いスタッフがいるということ。はい、います。30〜40代くらいの男性スタッフで、私たちが朝食レストランに行った時にもとびきりの笑顔で迎えてくれた。
こちらが日本人と分かると、「オハヨウゴザイマス」「コニチワ」「アリガトウ」と、知っている限りの日本語を使って話しかけてくる。ここにはスパークリングワインが用意されているのだが、それにイチゴなどをちょいと入れて持ってきてくれるなど、ちょっとした心遣いがうれしい。
どの客にも平等に明るく陽気に接しているようで、朝から元気をもらえる感じだ。朝食のビュッフェメニューは平均的な感じかな。
最終日は早朝にホテルを出発しなくてはならず、朝食を取れないから残念……と思っていたら、フロントの脇にコーヒーやパンなどを置いたコーナーができていた。これはありがたいサービス!
それから、初日にホテルに到着後、ちょっと小腹がすいていて、そのまま寝るにはちょっとお腹空き過ぎだろうっていう感じだったのだが(それは小腹がすいているとは言わないのでは?)、ポンバル公爵広場沿いにバーガーキングがあったのでとても助かった。ポルトガルで初めて食べたのがワッパーだったというのは、ちょっと隠しておきたい事実(笑)。
リスボン大地震後、街を再建したポンバル公爵
リスボンに滞在するのは正味3日間。リスボンは街中はもちろん、郊外にも見どころがたくさんあるので、3日間では到底足りない。だから、回るところは厳選していかなくてはならない。
だが、せっかくポンバル公爵広場に近くに泊まっているのだからと、リスボン観光の第一歩はボンパル公爵広場とその後ろに広がるエドゥアルト7世公園からスタートさせたのだが、これが大正解だった。
ポンバル公爵広場はロータリーの真ん中にある広場である。これ自体は観光スポットというほどではない。ちなみに、広場の名前に冠されているポンバル公爵はポルトガルを代表する政治家。リスボンは1755年にリスボン大地震という未曾有の震災に見舞われた。マグニチュードは推定8.5〜9.0。津波にも襲われ、6万人前後が死亡した。
この大地震の後、リスボンの街を再建したのがこのポンバル公爵セバスティアン・デ・カルヴァーリョ。当時、宰相だった彼はリスボン地震を生き抜き、「さあ死者を埋葬して、生存者の手当てをするんだ」と言って、街の再建に乗り出したとか。このときに街は碁盤の目状に整備され、それはいまもバイシャの街並みとして残されている。
広場にはライオンを従えたポンバル公爵の像がそびえている。
このホテルに泊まらなければたぶん行かなかった絶景スポット
ポンバル公爵広場の後ろに広がっているのがエドゥアルド7世公園だ。エドゥアルド7世とはイギリスのエドワード7世のこと。彼が1902年にリスボンを訪問したのを記念して整備されたという。
イギリスの国王が訪問した記念につくられた庭園なのになぜかフランス式庭園というのが気になるが、そこはおいといて……。リスボンには「絶景スポット」と呼ばれるところがいくつかあるのだが、だいたいにおいてオレンジ色の家並みが連なるところが多い。確かにその光景はリスボンらしいと思わせるものだが、私が一番感動したのはエドゥアルド7世公園からの眺めだ。
斜面を利用した公園で、ポンバル公爵広場から入ると上り坂になっている。この傾斜が結構きつくて、ヒーハー言いながら登ることになるのだが、登った先から眺める景色のなんと素晴らしいことよ。だから、登る途中では後ろを振り返らないことをお勧めする。振り返らずに、ただひたすら前を向いて公園を登り切り、そして振り返る。
「海が見えた。海が見える。」
これは林芙美子の『放浪記』の一節で、尾道駅からロープウエイに乗ったときの描写なのだが、まさにこれ!(海じゃなくて川なんだけど) なだらかに続く緑の庭園の先に青いテージョ川がちらちらと見える。庭園の緑と川の青の間にはリスボンの街並み。この光景は素晴らしかった。リスボンの眺望自慢といわれる場所からの光景をいくつも見たが、ここからの光景に勝るものはなかった。
エドゥアルド7世公園はリスボンの観光スポットとしてはそれほどフィーチャーされているとはいえず、私もポンバル公爵広場の近くに泊まっていなかったらおそらく行かなかったと思う。でも、ここはリスボンに来たら、ぜひ足を運んで欲しいスポットだ。
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