暁のキャンディ駅にて
スリランカの旅もいよいよエピローグへ。キャンディからコロンボへと移動し、夜には日本へ向けて出発します。キャンディからゴールへは列車で。コロンボからゴールへの移動はストのためタクシーになってしまったので、これがスリランカで初の鉄道移動となります。
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ホテルからキャンディ駅までは車で約10分。事前にドライバーさんが手配してくれていたトゥクトゥクでまだ開けきらぬ街を疾走していきます(大きな荷物はドライバーさんに預けているので、身軽です)。
キャンディ駅はクラシカルな雰囲気。実は前日、事前に駅を下見をしていたので、勝手知ったるなんとやらです。近くに仏教寺院があり、読経の声が聞こえてきました。ただ日本の読経とはだいぶ違っていて、イスラム教のアザーンのような感じです。
ちなみに、駅には日本と同様に改札があり、そこでチケットを見せて中に入るのですが、外国人が駅の中を見たいと言えば、普通に中に入れてくれるようです。私たちも前日に駅の中を外から伺っていたら、改札のおじさんが中に入れてくれました。
同じような感じで入った日本人旅行者もいて、嬉々として写真撮影にいそしんでいました。それにしても、鉄道の写真を熱心に撮っているのって、(私たちも含め)だいたい日本人なのよね。外国人に鉄ちゃんはいないのかな?
キャンディ駅構内はのんびり、ときどき殺伐
駅構内にはいくつかの線路が敷かれていて、プラットホームは全部で5つ。キャンディ駅はマーターレー・ライン(地図の青い線)とメイン・ライン(地図の赤い線)の2路線が走っており、マーターレー・ラインはペラデニヤ・ジャンクションでメイン・ラインと接続します。
マータレー・ラインはキャンディからさらに終点のマータレーヘと延びますが、マータレー駅まで行く列車は1日に数える程しかありません。ですから、コロンボ駅からの列車はほとんどキャンディが終点となります。ということは、コロンボ駅への列車はキャンディが始発となるのですが、人々が列車に乗り込む様子を観察していると、これがなかなかすごかった。
始発列車がプラットホームにゆっくりと入ってくると、人々は列車がまだ停車しないうちから我先にと乗り込んで席を確保。列車が停車する頃には、すでにあらかたの席が埋まっている状態です。コロンボからゴールへ移動する際、事前予約ができない2等車での移動を考えていた私たちでしたが、意外にハードル高かったかも?と思わされた瞬間でした。
インターシティでコロンボへ向け出発!
今回、私たちが乗車するインターシティ・エクスプレスには座席指定ができる1号車があり、事前に予約をしておきました。ですから、慌てて乗車する必要はありません。ホッ。
車内は木の壁のクラシカルな雰囲気。正面は大きく窓が取られていて、展望列車の作りとなっています。コロンボ駅から来た列車がそのまま引き返すので、座席の向きは進行方向と逆。日本のように座席の向きを変えることはできないようです。
スリランカの鉄道はあまり時間に正確ではないと聞いていましたが、ほぼ時間通りに出発。思ったよりもスルスルと発車し、キャンディ駅のホームを静かに後にしました。
トンネルを抜けるとそこは緑の渓谷だった
列車はペラデニヤ・ジャンクションを通過すると、メイン・ラインになります。メインラインはコロンボからペラデニヤ・ジャンクションを経由してバドゥッラへと至る路線。イギリス植民地時代に、丘陵地帯で栽培された紅茶の茶葉を輸送するために敷設されました。
ペラデニヤ・ジャンクションから紅茶の街として知られるヌワラエリアまでの区間が紅茶列車として知られていますが、キャンディからポルガハウェラあたりまでも紅茶列車と同様の景色が広がります。
この一帯は標高1000m級の山々が更なる山岳地帯。ですから、列車はいくつものトンネルを越えていきます。レンガ造りのトンネルを列車がゴトゴトと音を立てて走り、そこを抜けると眼下に広がるのは緑の渓谷! トンネルを通り過ぎた瞬間、視界の全てが緑に覆い尽くされる光景は、この上もない爽快感をもたらします。
圧倒的な緑の風景に心を打たれたものの、連日の早起きで襲ってくる睡魔には勝てず、ついついす〜やすや。気が付くと列車はすでに街中に突入しており、約2時間30分の列車の旅は幕を閉じたのでした。