極東ロシア2都市紀行(9)シベリア鉄道オケアン号に乗ってウラジオストクへ

極東ロシア2都市紀行

シベリア鉄道のチケットはロシア連邦鉄道のHPでラクラク予約

 今回の旅のメインイベントともいえるのがシベリア鉄道の乗車だ。シベリア鉄道といえば、私たち世代がまず思い出すのは、太田裕美が歌う『さらばシベリア鉄道』(作詞:松本隆、作曲:大滝詠一)である。愛らしい高音の歌声が耳に馴染んでいるが、大滝詠一のバージョンもなかなか渋い。「答えを出さない人に連いてゆくのに疲れて、行き先さえない明日に飛び乗ったの」である。それでシベリア鉄道である。松本隆がぶっ飛んでいる。

こちらが今回乗車したシベリア鉄道「オケアン号」。

さて、シベリア鉄道は「極東ロシア2都市紀行(8)ハバロフスク駅とハバロフスクの交通と治安」でも紹介しているように、モスクワからウラジオストクをつなぐ鉄道だ。1891年に建設が始まり、1897年に完成した。全線走破するには約7日間もかかるのだが、今回はハバロフスクからウラジオストク間の乗車を楽しむ。

極東ロシア2都市紀行(8)ハバロフスク駅とハバロフスクの交通と治安
駅が好きだ。とくに国有鉄道の駅か好きだ。国有鉄道の駅はだいたいが歴史があり、どっしりしていて、街のシンボルとなっていることが多い。だから、旅に出て、駅があると必ず訪れるようにしている。

ハバロフスクとウラジオストクの間は1日4本ほどの列車が運行しているが、観光客に人気があるのは「デラックス」というゴージャス車両があるオケアン号だ。予約はロシア連邦鉄道(RZD)の公式HPから行える。英語のページがあるので何とか理解は可能。また、いまどきはネットで検索すると、HPでの予約の取り方を懇切丁寧に解説してくれるページがいくつも見つかるので、そうしたページの助けもかりて、無事に予約できた。

【公式HP】

Пассажирам
Официальный портал ОАО «РЖД». Купить билет на поезд без комиссии. Акции и скидки. Расписание поездов и электричек по всем направлениям. Скоростные поезда «Сапса...

オケアン号は先に紹介した「デラックス」を筆頭に、1等車、2等車、3等車に分かれている。「デラックス」は定員2名の個室、トイレとシャワーがついている。1等車は2人用個室(トイレ・シャワーは共用)、2等車は4人用の個室、3等車は4人用の開放式のコンパートメント席。せっかくなので贅沢をして「デラックス」をゲットした。「デラックス」はなかなか人気があるらしいので、乗車を計画している人は早めの予約をお勧めする。

オケアン号の「デラックス」はなかなかゴージャス

さて、乗車当日、『さらばシベリア鉄道』を口ずさみながら、ハバロフスク駅へ向かう。列車が出るのは20時45分だが、早めに着いたので駅のカフェでのんびり紅茶などをすする。圧倒的なコーヒー派なのであるが、ロシアはコーヒーではなくて紅茶がはまる気がする。

ハバロフスク駅の中にあるセルフ方式のカフェ

そろそろ日も暮れてきて、ホームへと向かう。列車はすでにホームに到着していた。まだ暮れ切っていない薄暮の中に浮かび上がるオケアン号。なかなか絵になる。「デラックス」の乗車口に行くと、美人の乗務員さんがお出迎え。チケットを見せて乗り込む。

発車予定時刻の12分前

ホームから見たハバロフスク駅の駅舎。美しい。

個室内は赤のカーテンとブルーのソファが印象的な佇まい。テーブルの上にはウエルカムフルーツやミネラルウオーターが並べられている。カゴの中にはチョコレートなども。おもてなしの心が感じられるしつらいだ。

室内fこぢんまりとしているが、
居心地は悪くない

室内をあれこれチェックしたり、写真を撮影したり、慌ただしく過ごしているうちに、列車はするすると動き出した。ウラジオストクまで11時間24分のシベリア鉄道の旅が始まった。

列車が動き出すと、朝食メニューの注文を取りにスタッフが部屋を訪ねてきた。パンケーキやらブリヌイやら選択肢がいくつかあるのにも驚かされる。その後、「食堂車に行きたいんだけど……」といったら、カギを持ってきてくれた。

お楽しみの食堂車は……待ち時間がすごい!

シベリア鉄道での楽しみはやはり食堂車! 発車したらすぐに行かないと席が埋まってしまうというので、とるものもとりあえず行くことに。18号車の「デラックス」から食堂車まではかなりの距離があり、さまざまな等車を抜けて行くことになる。3等車の様子なども見られて、これはこれでなかなか楽しい。

ようやくたどり着いた食堂車。まだ人はまばらで、席に着くとスタッフがメニューを持ってきてくれた。ラインナップはロシア料理と一般的な西洋料理という感じ。お約束のボルシチとポテトサラダ、ポークソテー、ビールを頼む。そのうちだんだんと人が集まり始め、あっという間に満席に。1人で座っている人は相席を余儀なくされる。

食堂車はこんな感じ。
入店したときはまだ空いていた

さまざまな国籍の人たちが集う食堂車。皆が思い思いの表情でテーブルに座る。相席になったテーブルでは、会話が弾んでいるらしきところも。私たちもワクワクしながら、料理が出て来るのを待つが、待てど暮せど何も出てこない。さすがにしびれを切らして、食堂車の一画にあるスナックバーまで行ってビールを調達。そのビールをちびちびやりながら、ただひたすら料理が出てくるのを待つ。

フロアを担当しているのはロシア人のおばちゃんただ1人。どうも厨房にも1〜2人しかスタッフがいないようで、明らかに手が足りていない。中には座れたはいいものの注文すらできずに、あきらめて席を立つ人も出始めた。

こちらはビールがあるので、おとなしくひたすら待つ。待つ。待つ。そして、最初にやってきたのがボルシチ。これは「極東ロシア2都市紀行(6)ハバロフスクのグルメ〜ボルシチからラーメンまで〜」でも紹介したが、いかにも!という感じのボルシチ。しっかりとした味付けにサワークリームがマッチして、おいしくいただけた。

お野菜ごろごろボルシチ。サワークリームとの相性も○

次にやってきたのがポークソテー。こちらもまずまずの味。日本の洋食店で出て来そうな感じ。付け合わせとして添えられたトマトとキュウリのスライスが鮮やか。いまどきこんな素朴な付け合わせも珍しい。

下町の洋食屋さんで出てきそうなポークソテー

この後、ポテトサラダが来るまで少し間があいた。注文が通っていないのなら諦めるかという気持ちになりかけたところに、ようやく登場。ポテトにハムやピクルスなどを合わせ、マヨネーズであえているよう。こちらも味はしっかりとしていて、おいしかった。

意外にイケるポテトサラダ

極東ロシア2都市紀行(6)ハバロフスクのグルメ〜ボルシチからラーメンまで〜
ロシアの伝統料理ボルシチを食べ比べ。他に、ジョージア料理やビアパブなども紹介します。期待せずに食べた豚骨ラーメンは意外なおいしさ。ホテル朝食のシャンパ&イクラも忘れられない旅の味に。

オペレーションは最悪だったものの、料理自体はそれほど悪くはないという印象。ただ、あまり待つのはいやという人は、夕食を食べてから乗車するか、食料を持ち込むのがお勧め。車内でもカップラーメンなど軽食的なものは売っているが、あまり期待しないほうがいい。なお、お湯は手に入る。

ベッドは自分で作ります。そして、意外に揺れるのだ

部屋に帰ってくると、もう12時近く。外は真っ暗だし、とくにやることもないので、寝ることにする。ベッドはスタッフが作りに来てくれるわけではなく、自分で作る。まずウエルカムフルーツなどが乗っていたテーブルの位置を移動させ、ソファを倒して下のベッドを作る。上のベッドは壁に収納されているので、それを手前に引っ張ればいい。

すでにマットレスや布団がセットされた状態になっているので、ベッドさえ出せばすぐに寝られる。シーツ類も清潔で、快適! 個室なので気兼ねなく着替えをして、リラックスできる服装(←これ大切)で就寝。

乗り心地はといえば、これが意外に揺れる。横になっていても、かなり揺れを感じる。ちょっと酔いそう。車酔いしやすい人は、酔い止めがあった方がいいかも。

シベリア鉄道の朝食は豪華! でも、朝は慌ただしい

朝は7時くらいに朝食が運ばれてくる。昨日頼んでおいたロシア風クレープのブリヌイにフルーツプレート、スモークサーモン、イクラ、チーズ、ドリンクヨーグルト、ジュースなど、なかなか豪華だ。

朝食メニュー。
なぜラップを取って撮影しなかったのか……

窓を開けて、景色を楽しみながら朝食をいただく。ここが最も「鉄道の旅」っぽい雰囲気を味わえた一瞬だったかもしれない。

だが、優雅なひと時も一瞬だ。8時27分にウラジオストク駅に到着予定なので、あまりのんびりもしていられない。身支度をして、荷物をまとめる。調べたところウラジオストクは寒そうなので、スーツケースから薄いダウンジャケットを引っ張り出す。

トイレとシャワーは快適。タオルも完備

さて、最後にトイレ&シャワーの話をしておこう。「デラックス」には居室内にトイレとシャワーがついている。パッと見はトイレと洗面台しかないように見えるが、全体にシャワーカーテンを張り巡らすことができ、そのなかでシャワーを浴びることができるようになっていた。

シャワーカーテンがこんなふうにかかっている

洗面台の上にシャワーヘッド。
ヘッドは取り外せる

到着日の朝にシャワーを使用したのだが、お湯の温度も問題なく、湯量も十分。ジャカジャカお湯を流して、居室の方に湯が溢れないかちょっと心配だったが、排水もしっかりしていて、漏れ出ることはなかった。ただ、列車が結構揺れるので、揺れながらのシャワーは結構大変。ここでもまた酔いそうになる。

タオルはバスタオルとフェイスタオルが用意されていた。高級ホテルのようにふかふかというわけにはいかないが、きちんと水分は吸い取ってくれた。

やはり居室内に専用のトイレがあるのは便利。清潔感も申し分なかった。ただ、下車後に「デラックス」に乗車したご夫婦の話を聞く機会があったのだが、トイレがとても臭かったとのこと。私たちの部屋は快適だったので、運がよかったということか?

個人的には楽しくあっという間のシベリア鉄道寝台列車の旅だった。

 

 

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