だだっ広い道路に“北の大地”の印象を強くする
日本から一番近いヨーロッパとして最近人気が出てきているというハバロフスクとウラジオストク。とはいうものの街並みがヨーロッパチックかというと、私にはあまりそうは思えない。
ヨーロッパの街並みといって私がイメージするのは、レンガの石畳や路地、舗道のカフェテーブルとパラソル……といった感じ。だが、ハバロフスクやウラジオストクではそのようなものはほとんど見掛けなかった。夏の時期に訪れたなら、舗道のカフェテーブルとパラソルにはお目に掛かれたのかもしれないけれど。
ハバロフスクの街並みで印象的だったのはだだっ広い道路だ。目抜き通りのムラヴィヨフ・アムールスキー通りは片側2車線。そう聞くとそこまで広くはないじゃないかと思うだろうが、ぱっと見の印象がだだっ広いのである。なぜそんなにだだっ広く感じるのだろうと考えたところ、道沿いの建物に思い至った。
通りに連なる建物はどれもどっしりとしていて比較的低い。天を突くような高層ビルなどはほとんど見当たらない。だから見晴らしがとても良く、建物の上に空がバーッと開けていて、それがだだっ広いという印象を私に与えたのだろう。せせこましい首都圏の街並みを見慣れた目には、ハバロフスクの街並みはとてつもなくひらけている感じがあり、 “北の大地”という言葉が頭にぽっかり浮かんできた。
ハバロフスクの街並みを彩る日本人が作った建物
日本とハバロフスクは明治時代から交流があり、明治の終わりから大正にかけて数多くの日本人居留民がいたという。その始まりは、1890年代に着手されたウスリー鉄道(ウラジオストク〜ハバロフスク)の建設工事に従事するために多くの日本人が渡航したことに遡るとか。ハバロフスクに渡った日本人は工事後もすみ続け、商売や貿易などに従事した。最も多いときで600〜800人くらいの日本人がハバロフスクに住んでいたという。その後、1917年に勃発したロシア革命の影響で、ほとんどの日本人は引き上げてしまった。
日本と深い関わりのあるハバロフスクには、かつての日本人が作った建物がいくつか残されている。なかでも有名なのが、ムラヴィヨフ・アムールスキー通りにある建物。竹内一次というハバロフスク居留民の団長で、写真館などを営んでいた人物が開いた貿易事務所が、コモンソール通りとの交差点に立っている。
薄いパープルと白の壁が優美な印象のビルで、壁には竹内家の家紋である笹りんどうも見える。ヨーロッパ風の建物なのだが、笹りんどうだけを見るととても日本的。なんだか不思議な趣の建物である。
人の良さそうなレーニン像があるレーニン広場
アムール川沿いからムラヴィヨフ・アムールスキー通りを北東に向かって進んでいくと、レーニン広場に突き当たる。中央に噴水があるこれまただだっ広い広場。ロシアではモスクワの赤の広場に次いで大きな広場とのこと。東側にはレーニン像もある。このレーニンはなんだか人の良さそうな顔をしている。トレードマーク(?)のはげ頭が帽子で隠されているせいか?
ムラヴィヨフ・アムールスキー通りはレーニン広場を境にカール・マルクス通りと名前を変える。この道をひたすら歩いていくと、エヌ・カー・シティというショッピングセンターがある。『地球の歩き方』によると「市内で最も大きなショッピングセンター」とのことで入ってみたが、うーん、そうですかという感じ。土産物店などもあるとのことだったが、うーん、そうですか……。とても立派な「ロイズROYCE」のテナントが入っていたのが目を引いた。北海道、近いしな。
ハバロフスクはショッピング不毛地帯
ここでひとつハバロフスクのショッピング情報をお伝えしておくと、ハバロフスクではお土産を買うところがほとんどない。土産物店はあるにはあるがしょぼい。申し訳ないが購入意欲は全くそそられない。ウラジオストクと抱き合わせで旅程を組むのなら、ウラジオストクで購入するのがいい。ハバロフスクのみの日程の場合は、うーん、お土産らしいお土産は諦めるしかない……かも。
お土産らしいお土産を買うのはなかなか難しいハバロフスクだが、コンビニやスーパーなどに行けばロシア産のチョコレートやビール、紅茶、ハチミツなどがあるので、気軽なお土産としてこちらを購入するのがいい。
ロシアのチョコレートの定番といえば「アリョンカ」。かわいらしいロシアの少女のパッケージでお土産にはぴったり。味はアメリカの定番チョコ、ハーシーズ(Hershey’s)っぽい。ややクセがあり、苦手という人もいるようだが、まずいというほどではない。甘さは強いけれど、私は嫌いではない。ナッツが入っているものが独特のクセを緩和してくれてお勧めだ。
ビールは「バルチカ」が定番。さまざまな種類があり、0〜9番まで揃っている。コンビニなどで見かけたのは、9番や7番、5番など。0番がノンアルコール、9番がアルコール度数8%のストロングなので、番号がアルコール度数とリンクしているのではと誤解されがちだが、そうではない。
7番はエクスポート(輸出用)とのことだが、普通にハバロフスク市内のコンビニで売っていた。ラガービールなので、日本人にも飲みやすい味だ。
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ぶらぶら歩きが楽しい活気あふれる中央市場
ショッピングつながりで中央市場についても触れておこう。ムラヴィヨフ・アムールスキー通りの1本西を走るアムールスキー並木通り沿いにある。アムールスキー並木通りはその名の通り、公園のような緑地があるのどかな道。レトロなトラムも走っていて、のんびりできる一画だ。
中央市場は屋外スペースと屋内スペースに分かれ、なかなかの規模。食品がメインで、雑貨や花なども扱っている。整然と並べられた瑞々しい果物や野菜は思わずシャッターを切ってしまう美しさ。餃子のような冷凍食品がいっぱいあって、持ち帰れるのであれば買いたかった……。
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