シュールな黄金大仏は黄金寺院への入口だった!
シーギリヤの観光を終えて、休憩を挟んでダンブッラへと向かいます。車で約40〜50分の道のり。ダンブッラというと、ガイドブックなどではB級臭が漂う黄金の大仏の写真がバーン!と出てきます。ですから、これがダンブッラの黄金寺院の一部なのかと思ってしまいがちですが、実はコレ、後付けの仏像で世界遺産ではありません! 実は私も最初はこれが世界遺産なのかと勘違いしており、「こんなチープな大仏、見に行かなくてもいいわー」と思っておりました。すみません。
で、この大仏は何かというと、ダンブッラの黄金寺院への入り口となります。ここにチケットオフィスがあり、階段を上ると石窟寺院があります。ただ、途中にも駐車場とチケットオフィスがあるので、多くの人は途中まで車で来て、そこから階段を上っていくよう。私たちも途中まで車で連れてきてもらい、黄金の大仏は黄金寺院を見た後で車で回ってもらいました。
シーギリヤ・ロックよりのどかな世界遺産
ダンブッラの黄金寺院は紀元前1世紀のものとされます。岩山の中腹に開かれた寺院で、もともとは僧院でしたが、この時代にアヌラーダプラ王国のワッタガーマニー・アバヤ王が寺院に格上げしたのです。スリランカに現存している石窟寺院では最大規模を誇り、1991年に世界文化遺産として登録されました。
石窟寺院は岩山の中腹にあるので、そこまでは長い石段を上っていく必要があります。シーギリヤよりはラクでしたが、なかなかの距離。時間にして10分くらいでしょうか。寺院内は土足厳禁なので、入り口の脇で靴を脱いで預けます。お釣りはなさそうなので、小銭を用意してくことをお勧め。
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裸足になって、寺院へと向かいます。石の上を歩いていくので、ちょっと痛いです。この日は曇りだったので大丈夫でしたが、晴れた日は太陽で熱せられた石が熱く、なかなか歩きづらいとも聞きます。
さて、寺院は第1窟〜第5窟まで、5つの石窟から構成されています。岩肌に回廊がしつらえられ、その奥に空間が広がっています。黄金寺院というから、金ぴかの建物かと思いきや、いたってシンプルな感じです。
巨大な涅槃仏に圧倒されます
最も手前にある第1窟から順に見ていきます。第1窟は「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」(神々の王の寺)と呼ばれ、この中では最も古い石窟となります。安置されているのは全長14mの涅槃仏。ちなみに、涅槃仏とは釈迦が入滅、つまりお亡くなりになられたときの様子を仏像として表したものだそう。ですから、横たわったお姿でいらっしゃいます。内部は意外にこぢんまりとして、涅槃仏でいっぱいいっぱいになっています。
第2窟はこの中で最大の石窟。「マハー・ラージャ・ヴィハーラ」(マハラジャ=偉大な王の寺)と呼ばれています。ちなみに、偉大な王とは、この石窟寺院の創設者とも言うべき、ワッタガーマニー・アバヤ王のこと。石窟内には彼の像もあるそうです。
洞窟の壁や天井には色鮮やかな壁画が施され、56体もの仏像が安置されています。これだけの仏像に囲まれると、とてつもない迫力を感じますね。また、天井からは水が滴り落ちる場所があり、「ダンブッラ(水の湧き出る岩の意味)」という地名はこれに由来するそうです。
第3〜5窟は18〜20世紀に建造された石窟。第3窟にもたくさんの仏像が安置されていますが、第4・5窟まで行くと目が慣れてきてしまうせいか、だんだんと感動のスケールが落ちてきてしまうのは否めません。
すべてを見学するのには約1時間もあれば十分だと思います。なお、仏像と人物が一緒にフレームに収まるように写真撮影する際は、仏像にお尻を向けないように注意してくださいね。
Golden Temple of Dambulla
ダンブッラからキャンディへ。スリランカの宗教対立を考える
ダンブッラの観光も無事に済み、ここからキャンディに向けてひたすら車を走らせます。途中、ドライバーさんのお勧めでスパイスガーデンなるところへも寄り道。ここは、観光ツアーでは必ずといっていいほど立ち寄る場所みたい。私たちは断ろうと思えば断れたのですが、ちょうどスリランカでスパイスを購入しようと思っていたのと、ドライバーさんの顔を立てる意味もあって、休憩がてら寄ってきました。
こぢんまりとした庭園にさまざまなスパイスが植えられていて、日本語ガイドさんが丁寧に説明しながら回っていきます。最後はここで売っている商品の説明。これがちょっとかったるかったけれど、生のスパイスが見られたのはなかなか興味深かったです。
キャンディまでの道中、車の中かからさまざまな街の様子が垣間見られるのも面白かったです。途上にムスリムの街もありました。スリランカは人口の7割が仏教を信仰し、仏教の国というイメージが強いのですが、ヒンドゥー教と徒イスラム教徒も1割ずついるのです。スリランカで長年続いた内戦は仏教徒とヒンドゥー教徒との争いでしたし、2018年の3月にはキャンディで仏教徒とイスラム教徒との小競り合いから始まった暴動があり、非常事態宣言が発令されていました。
宗教に起因する対立は世界中で数えきれないほど起こっていますが、スリランカのように仏教徒が他の宗教の信者と対立するという構図はなかなか珍しいそう。雨がしとしと降る中、車窓から見たムスリムの街にはアザーンが鳴り響き、スカーフで髪を覆った女性たちが忙しく立ち働き、トーブをまとった男性たちはなにやら立ち話。そして、子どもたちは走り回って遊んでいました。そんな何気ない日常の様子を見ながら、宗教というのは人を救ったりもすめけれど、なかなか扱いが難しいものだなという思いを強くしたのでした。
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