極東ロシア2都市紀行(16)ウラジオストクはホテルがいまいち?

アズミットホテルウラジオストク 極東ロシア2都市紀行

ホテル不毛地帯のウラジオストク

 「極東ロシア2都市紀行」の最後をこのようなネガティブな話で締めくくるのはいかがなものかと思ったのだけれど、やはりウラジオストクで滞在したホテルについて触れておこうと思う。

街歩きメインの旅行では、ホテルの滞在時間は比較的短くなる。だから、高級ホテルに泊まるのはちょっともったいない。ゴージャスさよりは立地が重要なのだ。だから、街歩きメインの滞在の時は、だいたい3つ星ランク(ときどき4つ星)のホテルに宿泊することが多い。日本で言うところのビジネスホテルに毛が生えた程度の感じだ。

今回のウラジオストクも街歩きがメイン。3つ星くらいのホテルでいいかなと思っていたが、ロシアということもあり、滞在時の快適さを考えて、それほど宿泊料金が高くなければ4つ星でも……という気もしていた。

実際にウラジオストクの宿泊事情を調べてみる。すると、どうもこの街には大したホテルがないということが分かった。高級ホテルと呼ばれる部類に入るのは、「ロッテホテルウラジオストク」(旧ヒュンダイ)しかない。

「ロッテホテルウラジオストク」は街の中心にあり、街歩きの拠点とするには最高の立地。ただし、5つ星ホテルということもあり、宿泊料金が高いので却下。このランク以下の中級ホテルを探してみると、こちらもそれほど数は多くない。そして、その多くがソ連時代からのホテルを改装したものとあって、なんだかしょぼい。清潔感もいまいち。もちろん写真で見た限りではあるが。

立地やクチコミなどを勘案して、最終的に選んだのが「アジムト ホテル」だ。

高台に立つ「アジムト」は団体旅行客御用達のホテル

アズミットホテルウラジオストク

アズミットホテルの外観。赤いロゴが目立つ

アジムトは2004年に設立されたロシアのホテルチェーン。ロシアを中心に、ドイツやオーストリア、イスラエルにも展開し、いまのところ39のホテルがある。ウラジオストクには「アジムトホテル ウラジオストク(AZIMUT Hotel Vladivostok)」と「ア ホテル アムール ベイ ウラジオストク(A HOTEL Amur Bay Vladivostok)」の2つがあり、今回泊まったのは前者の方だ。

「アジムト ホテル」はウラジオストク駅の西、徒歩10分ほどの高台に位置している。街の中心にも徒歩で10分ほどで行けるので、立地としてはまあまあといったところだ。

シベリア鉄道のオケアン号でウラジオストク駅に到着したのはまだ朝。とりあえず荷物を預けるために、ホテルへ向かう。高台にあり、駅からは坂を登って行かなければならない。身軽ならそれほどきつい道のりではないが、スーツケースを引きずって行くのはちょっと骨が折れそうだったので、タクシー(Yandex)を利用した。

オケアン号の旅とウラジオストク駅についてはこちらの記事をチェック!

極東ロシア2都市紀行(9)シベリア鉄道オケアン号に乗ってウラジオストクへ
今回の旅のメインイベントともいえるのがシベリア鉄道の乗車。ハバロフスクとウラジオストクの間は1日4本ほどの列車が運行しているが、観光客に人気があるのは「デラックス」というゴージャス車両があるオケアン号だ。
極東ロシア2都市紀行(10)シベリア鉄道の終着駅、ウラジオストク駅に立つ
ハバロフスクから出発したシベリア鉄道オケアン号は、ほぼ定刻通りにウラジオストク駅に到着した。ウラジオストク駅はモスクワ駅から9288km離れており、ホームにはキロポスト(距離標)もある。

高台にそびえる「アジムト ホテル」は白い外観の立派な建物。赤いロゴマークが映えている。私たちが到着したのは午前9時30分くらい。チェックアウトする人やら、これから観光に出掛ける人やらで、ロビーは大混雑していた。

宿泊客の様子を見ると、「アジムト ホテル」はどうやら団体ツアー客の割合が多いようだ。韓国人と中国人が多く、次いで日本人。そしてほんの少しのロシア人やらヨーロッパ系の人たち。とにかくアジア系の人でごったがえしていた。

アズミットホテルウラジオストク ロビー

アズミットホテルのロビー。なかなかおしゃれな佇まい

ロビーは小奇麗なビジネスホテルといった趣。スナックや飲物などを売るショップやATMもある。まだチェックインできる時間ではなかったので、荷物だけを預けて街に出た。この時点ではまだ何も門田製はなかったのだが……。

いままで泊まった中でダントツにダメなホテル

「アジムト ホテル」はいままでに私が泊まったホテルの中で、ダントツにダメなホテルだった。「スリランカへの旅」でキャンディの「ホテルカサマラ」を愛すべきダメダメホテルと紹介した。このホテルもいくつか問題点はあったが、思わず笑ってしまうような部分やホロリとさせられることもあり(スリランカ人の気質も関係あるのか?)、まさに“愛すべき”ホテルだった。

スリランカの『ホテルカサマラ』についてはこちらの記事をチェック!

スリランカへの旅(15)キャンディでの宿、 「ホテル カサマラ」は愛すべきダメダメホテルでしたの巻
キャンディでの過ごし方は街歩きがメインです。そのような場合、私たちは街歩きのしやすさを最も重視して、ホテルを選びます。街歩きのしやすさとは……

だが、「アジムト ホテル」は違う。よかったのは客室が比較的きれいだったことと立地がまあまあよかったことくらいか。サービスやオペレーション、客層は本当に最悪だった。

まず驚いたのが、タオルの補充がめちゃくちゃだったことだ。1泊目はバスタオルとフェイスタオルがしっかりセットされていたが、2泊目にはバスタオルしかなかった。フェイスタオルの補充を頼んだのだが品切れとのこと。そして、3泊目になるとタオルがまったくなかった。昨日クレームを入れたから、嫌がらせか? 催促して持ってきてもらったが、やはりバスタオルのみ。フェイスタオルが品切れのホテルとは? いくらなんでもそれはない。

そして、申し訳ないが客層もひどい。各フロアのエレベーター前は比較的広いスペースが取られ、ソファなどが置かれている。とても素敵な雰囲気ではあるが、なんとここが中国人観光客の宴会の場となっていた。

グループで来た人たちなのだろう。どこか1室に集まりたかったのだろうが、客室は狭い。そこで、目をつけたのがエレベーター前の快適なソファスペースだった模様。自国から持ってきたのか、あるいはそのへんで買ってきたのかは分からないが、食べ物を広げて和んでいる。

広く知られている通り、中国人は声がでかい。自分たちはおとなしく会話を楽しんでいるつもりなのかもしれないが、はたで見ていると大きな声で騒いでいるようにしか見えない。エレベーターから下りて、この光景に遭遇したときには、本当にぎょっとした。エレベーターホールの近くには、ホテルスタッフの詰め所もある。これをそのまま放置しているホテルスタッフもどうかと思うが……。

今回、ハバロフスクとウラジオストクを訪れて感じたのは、かの地の人たちは総じて愛嬌がない。サービスがちょっとくらい悪くても、「テヘペロ」的な愛嬌があれば、案外許せてしまったりもする。だが、そうした愛嬌がほとんどないために、こちらもますます印象が悪くなる。とくに、ウラジオストクでは「アジムトホテル」に限らず、そのような場面に何度か遭遇した。

冒頭でも書いたように、ハバロフスクとウラジオストクの紀行をこのような話で締めくくるのはかなり後味が悪いのだが、今後訪れる人の参考になればとあえて記しておく。パカー。

コメント