ウラジオストクの交通事情
ウラジオストクは比較的こぢんまりとした街なので、「極東ロシア2都市紀行(10)ウラジオストクの街歩き〜スヴェトランスカヤ通りを行く〜」で紹介したスポットは徒歩でも回ることができる。
ただ、街中であってもやや離れたところにも観光スポットに足を延ばす場合はバスや路面電車、タクシーなどを使うのがお勧めだ。交通カードなどはなく、乗車の都度に通貨を払って乗車する。旅行者にとってはちょっと面倒くさい。ただし、おつりは用意されているので、ぴったりの小銭がなくても大丈夫だ。
旅先でバスなどに乗る際、支払いが上手くできるか、周りに迷惑を掛けないかなど、けっこう心配になる。だが、ウラジオストクの人たちはのんびりしているのか、待たされることに対してはとても寛容。だから、降車する際に支払いでもたもたしていても、あまりイライラされることはなく、慣れない観光客にとってはありがたい。しかしながら、こののんびり気質、レストランなどではこちらがイライラしてしまうというアンビバレントが発生。痛し痒しといったところか。
タクシーはYandex(配車アプリ)を使うのがいい。Yandexはハバロフスクですでに利用していたので、ウラジオストクでも積極的に活用。YandexはUber同様の使いやすさで、運転手さんも問題なし。ウラジオストクでも嫌な思いをしたことは1回もなかった。ハバロフスク&ウラジオストクを旅する人は、訪れる前にぜひダウンロードすることをお勧めする。
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バスに乗ってキタイスキー市場へ
旅先では市場に行くのが楽しみだ。ウラジオストク最大の市場であるキタイスキー市場は中心街の東に位置しており、ここに行くには路線バスの31番が便利だ。ウラジオストク駅からは約30分の距離。Google Mapとにらめっこしながら、近くの停留所で降りる。
キタイスキーとはロシア語で中国という意味。ここで売られている雑貨の多くが中国からの輸入ということでこの名が付いたというが、売られているもの全てが中国製というわけではない。ハチミツなどロシアの特産品もある。
市場はかなり広く、衣料品や雑貨、工具類、野菜や海産物などの生鮮食品、植木、はちみつ、ドライフルーツ、ナッツ、スパイス、お菓子など、バラエティー豊かな品物が売られていた。レストランやカフェ、理髪店やネイルサロンなどもある。ロシアの人々の生活が垣間見られる感じで、なかなか楽しかった。
ウラジオストクのレトロな路面電車に乗ってみた
キタイスキー市場へ来た目的はもう一つある。市場の前を走る路面電車に乗るためだ。路面電車が開通したのは1912年とのこと。かつては市内に路線が走り巡らされ、交通の要として活躍していたというが、いまはほとんどが廃止され、残っているのはキタイスキー市場の前を走る路線のみということだ。
路面電車に乗って訪れたいスポットがあるわけではなく、ただ単に乗車することだけが目的なので、隣のルガバヤ市場まで行ってみることにする。料金は16ルーブル。車内は木のベンチがしつらえられ、レトロな雰囲気。乗客は多く、市民の足として親しまれている様子だ。乗り心地も悪くない。
ちなみに、ルガバヤ市場はキタイスキー市場と比べると、だいぶこぢんまりとした感じ。キタイスキー市場は観光客も多かったような気がするが、ここは本当に地元の人たちのための市場という感じだ。
キリル文字の由来となった宣教師兄弟の像がある展望台
馬鹿と煙は高いところに上るというが、たぶん旅行者も高いところが大好き。旅先ではなぜか展望台に上りたくなる。というわけで、ウラジオストクの町が一望できるという鷹の巣展望台に行ってみることにした。
鷹の巣展望台はキタイスキー市場よりは中心街に近い位置にあるが、歩くにはちょっと遠過ぎるかな。標高214mの丘の上にあり、市内では最も高い場所になるという。展望台まではふもとからケーブルカーが運行している。路線バスでも行けるが、面倒くさかったのでYandex(ロシアの配車アプリ)でケーブルカー乗り場まで行って見ることに。
だが、どうも場所指定がうまくいかず、あれよあれよという間に坂を登って鷹の巣展望台まで来てしまった。まあ、いいか。ケーブルカーは帰路のお楽しみに取っておこう。
展望台には十字架を掲げる2人の男性の像が。ふたりはテッサロニキ出身のメトディオスとキュリロスという兄弟とのこと。正教会の宣教師で、スラブ世界にキリスト教を広めた功労者として知られるほか、布教のためスラブ語を表記するグラゴル文字を作ったとされる。グラゴル文字を改良したのがキリル文字で、キリル文字はキュリロスの名から取られたものとのこと。なるほど。ただ、展望台と像の組み合わせはちょっと謎だが……。
展望台からの眺めはまずまず。客船が停泊する金角湾や優美な姿を見せる金角湾大橋、その向こうにはルースキー島も見える。ウラジオストクが港町であるということを実感できる。開放感に溢れ、気持ちが良いが、風は強い。
フルシチョフの肝いりで作られたケーブルカー
美しいウラジオストクの眺めを堪能した後は、お楽しみのケーブルカー。歩いて乗り場へと向かう。このケーブルカーは1962年に設置されたもので、赤の車体と青の車体の2両が交互に運行する。建設のきっかけは、アメリカとの雪解けをもたらしたことで知られるフルシチョフの「ここにソビエトのサンフランシスコを建設する!」という鶴の一言だったとか。確かにウラジオストクも坂の町だけどね。
運行時間はたったの2分。あっという間に麓の駅に到着する 。傾斜はなかなかのもの。樹木の間を抜けて行く感じで、気持ちがいい。車体もかわいらしく、テンションが上がる。やっぱり展望台にはケーブルカーがつきものだね。
ウラジオストクを代表する教会へも足を延ばそう
ハバロフスクでは精力的?にロシア正教会を回ってみたが、ウラジオストクは教会が広範囲に点在していたために、あまり訪れることはできなかった。ただ、ガイドブックで“街を代表する”と紹介されているバクロフスキー教会には行かねばと足を延ばす。
バクロフスキー教会は中心街の北側に位置する。高台の上に立つクリーム色の教会だ。1885年の創建だが、ロシア正教会あるあるで、ソ連時代には破壊されてしまったが、ソ連崩壊後に再建されたという歴史を持つ。
ここは観光スポットとしても人気があるらしく、韓国人や中国人のツアー客が大勢やってきていた。教会内はそこまで大きくはなかったと思う。ここも異教徒は入口あたりから眺めるのみ。
【番外編】ウラジオストクの猫カフェに行ってみた
ウラジオストクでなんだか時間がぽっかり空いてしまったので、ガイドブックで紹介されていた猫カフェ「ヴァレリヤニチ」に行ってみた。噴水通りの近くの一画にある雑居ビルの3階にある。
カフェ内は日差しがさんさんと差し込み、明るい雰囲気。何匹かの猫が気ままに寛いでいた。捨て猫や病気になった猫を保護しているとのことで、猫たちはとびきり人懐こいというわけではない。セルフサービスのお茶を飲みながら、猫と遊んだり、写真を撮ったりしながら、まったりと過ごす。観光の合間の息抜きにはいいかもしれない。
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