極東ロシア2都市紀行(8)ハバロフスク駅とハバロフスクの交通と治安

極東ロシア2都市紀行

大陸の大らかさをまとったハバロフスク駅

駅が好きだ。とくに国有鉄道の駅が好きだ。国有鉄道の駅はだいたいが歴史があり、どっしりしていて、街のシンボルとなっていることが多い。だから、旅に出て、駅があると必ず訪れるようにしている。

ハバロフスク駅は街の北にある。シベリアとヨーロッパを結ぶシベリア鉄道の駅だ。シベリア鉄道はモスクワからウラジオストクをつなぐ鉄道で、全線走破するには約7日間を要するという。

建設が始まったのは1891年。全行程は7区に分かれていて、ウラジオストクからハバロフスクまでの区間はウスリー鉄道として1897年に完成した。ハバロフスク駅は1897年2月に開業している。

威風堂々たるハバロフスク駅

白い壁に緑の屋根が印象的な駅舎は2007年に改修されたものという。2008年のハバロフスク市建設150周年に合わせた事業だったらしい。ネオ・ロシア様式の威風堂々たる佇まいは、ハバロフスクの大陸的な雰囲気によくあっている。駅舎内はわりとこぢんまりとした造り。ピロシキなどを売る売店やカフェなどもある。

駅の窓口。上には時刻表も

明るいカフェ

ハバロフスク駅に対峙しているのは、街の名前にもなっている探検家、エロフェイ・ハバロフの銅像だ。毛皮?のようなものを肩にかけ、なにやら勇ましい。彼は1649年から1653年にかけて2回のアムール川探検を行ったことで知られている。

ハバロフスク駅をにらんで立つ
エロフェイ・ハバロフの像

【ハバロフスクの成り立ちについては以下のページもご参考に】

極東ロシア2都市紀行(2)何やら薄暗いハバロフスク。パルスホテルで救われる
ハバロフスク空港でぼんやりと佇んでいると、空がオレンジ色に染まってきた。さて、ホテルへ向かって移動することにしよう。市内へはバスも運行しているが、空港バスなどという上等なものではなく普通の市バス。
極東ロシア2都市紀行(3)ハバロフスク市民の憩いの場、アムール川周辺を歩く
ハバロフスクを語るのに欠かせないのがアムール川だ。ちなみに、アムール川はロシア語で、中国語では黒竜江という。ロシア語読みと中国語読みの両方があるのは、この川がロシアと中国の国境を流れているからだ。

ハバロフスク駅の前は広々とした広場になっていて、トラムの乗り場がある。なお、広場からハバロフスク駅はすぐ目の前に見えるのだが、地上を突っ切って行くことはできない。広場と駅は地下通路でつながれていて、それを通って行くことになる。地下通路には衣料品店などが軒を連ね、お安いTシャツや靴下などが店先に溢れている。

駅前広場と駅をつなぐ通路。日本の地下通路も
昔はこんな雰囲気だったなー

カラフルでレトロなハバロフスクのトラム

さて、ここで少しハバロフスクの市内交通について触れておこう。ハバロフスクの公共交通手段としてはバスとトロリーバス、トラムがある。マルシュルートカという乗り合いバスもあるらしいが、今回の旅では乗車することはなかった。

トラムは何路線かあるようだが、観光客が利用することが多いのはハバロフスク駅前からアムールスキー並木通りを走る路線だろう。私はハバロフスク駅から中央市場へ向かう際に利用した。トラムは1両編成の車両。廃線車両を利用しているのか?と思われるほどおんぼろの車両があるかと思えば、比較的近代的な車両もある。なぜかカラフルなカラーリングで、ハバロフスク駅前でいろいろな車両を眺めるのも楽しい。

なんともレトロなトラム。運転手は女性だった

こちらは少しきれいな車両

運賃は均一で25P(なお、深夜料金があり、夜8時以降は30Pになる)。車内には車掌さんがいて、乗車すると料金を徴収しに来てくれる。足下が不安定な中、車内を縫って自分で払いに行かなくてもいいのはありがたい。お釣りもくれる。停留所には必ず停車するので、目的地に着いたらそのまま降車する。

車内はこんな感じ

Google Mapがあれば怖くない、バスとトロリーバス

一昔前は知らない海外の街でバスに乗るのはとてもハードルが高かったが、Google Mapの精度が上がった今となっては、バスに乗車するのはそれほど大変なことではなくなった。スマホでGoogle Mapを起動。行きたい場所を入力して検索すれば、どこからどの交通機関を利用すればいいのかが一目瞭然だ。乗車している間もGooglemapを見ていれば、下りる場所を逃すこともない。

こちらはバス。手前にいるのは車掌さん

バスの車内。トラムとあまり変わらない

ハバロフスクはこぢんまりとした街で頑張れば徒歩でも観光できるが、アップダウンもあるので、バスやトロリーバスを上手に利用すると体力を消耗せずに観光できる。乗車・降車の方法はトラムと同様。

なかなかの急勾配。これを見ると
歩くのいやになりません?

海外で公共交通機関に乗る場合は、1日チケットやIC乗車券を購入するとラクなのだが、どうやらハバロフスクにはない模様。いまのところは少し面倒くさいが、細かいお金を用意して、乗車のたびに払うしかないようだ。

【治安】比較的安全に感じたハバロフスク

街歩きの際に気になるのは治安だが、ハバロフスクでは街を歩いていて特に治安が悪いと感じることはなかった。昼間なら女性の独り歩きも問題ないような気がする※。ただ、夜になると街は一気に暗くなり、人通りも少なくなる。バーなどの周りにも若者たちがたむろしていたりもする。

ちなみに、ハバロフスクでは英語を理解する人が少ない。レストランなどで使うような簡単な英単語(waterとかcokeなど)も通じないことがしばしばある。これは年配者に限らず、若者でも同じ。そんな状況の中でトラブルに遭ったとしたら、恐ろしく面倒くさいことになるのは目に見えているので、夜はやはり独り歩きは避けた方がいいかもしれない。

人々は落ち着いた印象。大陸気質というのだろうか、泰然自若として、あまりアクセクしていないような感じを受ける。表情もあまり変えず、愛想が良いとは言えない。ただ感じが悪いというわけではなく、淡々とクールといった感じか。

アムール川沿いの広場にあるコーヒースタンド。
人気店なのか、ママさんたちが列を成していた

なお、ハバロフスク日本国総領事館によれば、ハバロフスクでは対日感情は良好だが、中国人や朝鮮人などのアジア系外国人に対する排他的な偏見が根強くあるとのこと。そのため、日本人もトラブルの巻き添えにならないとも限らないので、注意した方が良いとのことだ。

※あくまでも個人の感想です。街歩きや観光はご自身の責任で行ってください。

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